労働力人口とは?間違えやすい部分を解説
労働力人口とは、経済ニュースや統計で使われる「働く人と、仕事を探していて働ける人の合計」を指します。単に働いている人だけではなく、完全失業者も含む点が重要です。
定義
労働力人口とは、総務省統計局の労働力調査の基本集計では、「就業者と完全失業者を合わせたもの」と説明されています。ここでいう就業者とは、労働力調査の基本集計では、15歳以上人口のうち、月末1週間に少しでも仕事をした人や、仕事を持ちながら一時的に休んでいた人などを指します。一方、完全失業者とは、15歳以上で、調査期間中に収入を伴う仕事を少しもせず、仕事に就くことが可能で、かつ積極的に仕事を探していた人を指す統計上の区分です。
労働力調査では、基本的に15歳以上人口を、就業者、完全失業者、非労働力人口に分けて把握します。このうち、就業者と完全失業者を足したものが労働力人口です。式で表すと、次のようになります。
また、15歳以上人口に占める労働力人口の割合は、労働力人口比率と呼ばれます。
つまり労働力人口は、人口全体の人数ではなく、15歳以上人口のうち、実際に働いている人と、仕事を探していて働ける人を合わせた統計上の概念です。
具体例
ある地域に15歳以上の人が100人いるとします。そのうち、仕事をしている人が65人、仕事はないものの働く意思があり、求職活動をしていて、仕事があればすぐ就ける人が3人、学生・専業主婦・高齢者などで求職活動をしていない人が32人だったとします。
この場合、労働力人口は次のように計算されます。
一方、求職活動をしていない32人は、基本集計では非労働力人口に分類され、労働力人口には含まれません。ここで大切なのは、「働いていない人」がすべて完全失業者になるわけではないという点です。仕事をしていなくても、求職活動をしていない場合は、統計上は非労働力人口として扱われます。
見るときのポイント
労働力人口を見るときは、増えたか減ったかだけで判断しないことが重要です。労働力人口が増えた場合でも、就業者が増えているのか、完全失業者が増えているのかで意味は異なります。就業者が増えていれば雇用の拡大を示す可能性があります。一方、完全失業者が増えている場合は、仕事に就けていない人が増えた可能性だけでなく、これまで求職していなかった人が労働市場に戻った可能性もあります。
また、労働力人口は人口構造の影響も受けます。少子高齢化により15歳以上人口の内訳が変わると、労働市場に参加する人の数も変化しやすくなります。ただし、人口減少だけで労働力人口の変化を説明できるわけではありません。女性や高齢者の就業参加、景気動向、制度変更、働き方の変化なども関係します。
そのため、労働力人口を読む際は、就業者数、完全失業者数、非労働力人口、完全失業率、就業率、労働力人口比率などを合わせて見る必要があります。経済ニュースでは、単独の数字よりも、複数の指標を組み合わせて労働市場の状態を確認することが望ましいといえます。
間違えやすい点
労働力人口は、「働いている人の数」と同じではありません。働いている就業者に加えて、仕事を探していて、仕事があれば就ける完全失業者も含みます。
また、「失業者」と「働いていない人」も同じ意味ではありません。働いていなくても、求職活動をしていない人は、労働力調査の基本集計では完全失業者ではなく、非労働力人口に分類されます。たとえば、学生や専業主婦、高齢者であっても、求職活動をしているかどうかなどによって統計上の扱いは変わるため、一律に非労働力人口と決めつけることはできません。
さらに、労働力人口が増えたから景気が必ず良い、労働力人口が減ったから失業が改善した、といった見方も正確ではありません。労働力人口の増減には、就業者の増減、求職者の増減、非労働力人口からの移動など、複数の要因が関係します。
関連用語
労働力人口を理解するには、就業者、完全失業者、非労働力人口の関係を押さえることが基本です。就業者は実際に仕事をしている人、完全失業者は仕事を探していて働ける人、非労働力人口は、基本集計では、就業者にも完全失業者にも該当しない人を指します。たとえば、求職活動をしていない学生・専業主婦・高齢者などが含まれます。
また、完全失業率は、労働力人口に占める完全失業者の割合を示す指標です。労働力人口比率は、15歳以上人口のうち労働力人口がどれくらいを占めるかを見る指標です。就業率は人口に対する就業者の割合を示し、雇用者は就業者のうち会社や官公庁などに雇われて働く人を指します。
関連して、有効求人倍率は、厚生労働省の一般職業紹介状況で公表される指標で、ハローワークで扱う有効求職者数に対する有効求人数の倍率を示します。総務省統計局の労働力調査に基づく完全失業率とは、調査の対象や意味が異なります。完全失業率とは意味が異なるため、労働市場を見る際は、それぞれの統計が何を測っているのかを区別して読むことが大切です。