景気動向指数とは?CI・DIの違いと見方をわかりやすく解説
景気動向指数とは、生産、雇用、機械受注、住宅着工など、景気に敏感に動く複数の経済指標をまとめ、景気の向きや変化のテンポを把握するための指標です。DIでは改善がどの程度広がっているかを、CIでは景気変動の大きさやテンポを把握する手がかりになります。
定義
景気動向指数とは、複数の経済指標を合成して、景気の現状や先行きを見るための内閣府の指標です。内閣府は、景気動向指数を『景気の現状把握及び将来予測に資するために作成された指標』と定義しています。
景気動向指数には、景気に先行して動きやすい「先行指数」、景気とほぼ一致して動きやすい「一致指数」、景気に遅れて動きやすい「遅行指数」があります。たとえば、一致指数は景気の現状把握、先行指数は今後の景気の動きを見る参考材料、遅行指数は景気の動きを事後的に確認する材料として使われます。
また、景気動向指数には大きく分けてCIとDIがあります。CI、つまりコンポジット・インデックスは、景気変動の大きさやテンポを見るための指数です。一方、DI、つまりディフュージョン・インデックスは、改善している指標の割合を見るための指数です。DIの基本的な考え方は
で表されます。
CIでは、採用系列、つまり景気動向指数を作るために選ばれた各統計指標の前月からの変化を合成して指数を作成します。代表的には、当月値と前月値の差を両者の平均で割る『対称変化率』が用いられます。式で表すと以下になります。
具体例
たとえば、工場の生産、求人の数、機械の受注、住宅着工、企業収益などを見たとします。これらの多くが前月より良くなっていれば、景気の改善が複数の分野に広がっている可能性があると考えられます。
採用系列が10個あり、そのうち7個が改善し、3個が悪化していれば、DIは「7 ÷ 10 × 100」で70となります。この場合、改善している指標の数が多いという読み方ができます。ただし、DIは改善している指標の割合を示すものであり、それぞれの指標がどれくらい大きく改善したかまでは直接示しません。
一方、CIは、各指標の変化を合成することで、景気変動の大きさやテンポを見るための指標です。改善している指標の数が同じでも、それぞれが小幅に改善した場合と、大幅に改善した場合では、CIの動き方が異なることがあります。そのため、DIは「広がり」、CIは「大きさやテンポ」を見る指標として理解すると、役割の違いをつかみやすくなります。
見るときのポイント
景気動向指数を見るときは、まず先行指数、一致指数、遅行指数のどれを見ているのかを確認することが重要です。現状の景気を把握したい場合は一致指数、先行きの参考にしたい場合は先行指数、景気の動きを事後的に確認したい場合は遅行指数が使われます。
次に、CIとDIの違いも確認します。たとえば一致CIが上昇している場合は、景気の現状が改善方向に動いている可能性があります。ただし、単月の動きだけで景気判断を確定することはできません。DIが50を上回る場合は、基本的には改善している指標が悪化している指標より多い状態と読めます。ただし、どちらも単独で景気のすべてを説明するものではありません。
また、景気動向指数の基調判断は、単月の上昇や低下だけで決まるものではなく、一定期間の動きや基準に基づいて判断されます。経済ニュースで「一致指数が上昇」「先行指数が低下」などと報じられた場合も、前月だけでなく、数か月の流れや改訂値をあわせて見ることが大切です。
間違えやすい点
景気動向指数はGDPそのものではありません。GDPは一定期間に国内で生み出された付加価値を示す統計であり、景気動向指数は複数の経済指標を合成して景気の局面や変化を把握するための指標です。
また、景気動向指数は家計の生活実感を直接表す指標でもありません。一致指数が上がっていても、すべての企業や家計が好調とは限りません。業種、地域、所得層によって感じ方は異なるためです。
先行指数についても、将来の景気を必ず当てるものではなく、あくまで先行きの参考指標とされています。DIが高い場合も、改善している指標の割合が高いという意味であり、景気の勢いそのものが強いとまでは言い切れません。
さらに、景気ウォッチャー調査と混同されることがあります。景気動向指数は複数の統計系列を合成した指標であるのに対し、景気ウォッチャー調査は人々の景気実感を聞く調査です。どちらも景気を見る材料ですが、性質は異なります。