実質GDPとは?意味・計算式・見方を解説
実質GDPとは、国内で一定期間に生み出された付加価値の合計から、物価変動の影響を取り除いた経済規模を指します。名目GDPが価格込みの金額を見るのに対し、実質GDPは生産量やサービス量の変化を見やすくするために使われます
定義
GDPは、内閣府によると「国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額」と説明されています。ここでいう付加価値とは、企業や政府などが生産活動を通じて新たに生み出した価値を指します。
実質値は、ある年を基準として、物価の上昇や下落の影響を取り除いた値とされています。したがって、実質GDPとは、国内で一定期間に生み出された付加価値の合計額について、物価変動の影響を調整したものを指します。
計算上は、一般に次のように表されます。
GDPデフレーターが「100を基準とする指数」で示される場合は、次の形で表します。
このように、内閣府の国民経済計算では、名目値、実質値、デフレーターの関係が『名目値 = 実質値 × デフレーター』となるように作成されています。なお、GDPデフレーターを100を基準とする指数で表す場合は、計算時に100で割って扱います。実質GDPは、国民経済計算や四半期別GDP速報、国民経済計算年次推計などで確認できます。
具体例
ある国で、去年は100個の商品を1個100円で売っていたとします。この場合、去年の生産額は「100個 × 100円」で10,000円です。
今年も作った商品は同じ100個だったものの、物価が上がって1個120円になったとします。このとき、今年の名目GDPは「100個 × 120円」で12,000円になります。名目GDPだけを見ると、経済規模が20%増えたように見えます。
しかし、この例では作った商品の数は100個のままで、増えたのは価格だけです。実質GDPは、この価格上昇分を取り除いて考えるため、生産量が増えていないことを確認しやすくなります。つまり、名目GDPは増えていても、実質GDPで見ると経済の実力はほぼ横ばいと判断される場合があります。
このように、物価が大きく動く局面では、名目GDPと実質GDPを分けて見ることが重要です。特に経済成長率を考えるときには、物価の影響を除いた実質GDPの変化率がよく使われます。
見るときのポイント
実質GDPを見るときは、物価変動の影響を取り除いて、経済活動の量的な変化を見ようとしている指標と理解するとわかりやすくなります。名目GDPが金額ベースの規模を示すのに対し、実質GDPは物価変動を調整することで、生産されたモノやサービスの量の変化を把握しやすくします。
ただし、実質GDPだけで景気や生活実感を正確に判断できるわけではありません。実質GDPが増えていても、その増加が一部の産業に偏っている場合や、家計の所得に十分反映されていない場合があります。また、所得格差、環境負荷、無償労働、家計の負担感などは、実質GDPが直接示すものではありません。
用途の違いにも注意が必要です。経済成長率を見る場合は実質GDPがよく使われます。一方で、税収、企業売上、政府債務残高などとの比較では、実際の金額に近い名目GDPが使われることも多くあります。どちらが正しいというより、何を知りたいかによって使い分ける指標と考えるのが適切です。
間違えやすい点
実質GDPは「本当のGDP」という意味ではありません。あくまで、物価変動の影響を取り除いたGDPを指します。名目GDPが意味のない数字というわけでもなく、名目GDPと実質GDPはそれぞれ異なる目的で使われます。
また、名目GDPが増えているからといって、実質GDPも同じように増えるとは限りません。物価上昇が主な理由で名目GDPが増えている場合、実質GDPの伸びは小さくなることがあります。反対に、物価が下がっている局面では、名目GDPが伸び悩んでいても、実質GDPでは経済活動が増えていると確認できる場合があります。
実質GDPと実質賃金も別の概念です。実質GDPが伸びても、賃金が同じように伸びるとは限りません。企業利益、雇用環境、分配の仕組み、物価、税や社会保険料など、家計の実感には多くの要因が関係します。
さらに、GDPとGNI(国民総所得)も区別が必要です。GDPは国内で生産された付加価値を示す指標であり、GNIは居住者が国内外から得た所得を示す指標です。国内での生産を見るのか、居住者の所得を見るのかによって、使う指標が変わります。